こんにちは石のシンシアです。
上画像は石のシンシアのオリジナル彫刻で、
CNCルーターと手仕上げで制作したものです。
真ん中の白い部分は
イタリア産大理石・ビアンコカララで作られていて、
後ろの黒い部分は中国産御影石・山西黒です。
二種類の石材を使ったハイブリッド仕上げをして、
鏡から飛び出たような感じのレリーフを作り、
絵画用の額にいれてみました。
「ストーンカメオを実際の人物にして
額に入れて飾れるくらいに大きくしたらどうか?」
という発想で作ってみたのですが、
大理石彫刻には独特の存在感があり、
自分が作ったものなのに
異次元空間の扉が開かれているような
不思議な感覚がありました。
さて、CNCルーターで彫刻する場合、
ルーターを動かすためのプログラムを作る必要があります。
私の場合は、彫刻する形を「STLファイル」という形式にしています。
汎用性が高く、大抵のソフトで取り扱える形式だからです。
いくつかのソフトを使って彫刻できるファイルに仕上げるのですが、
上画像は「ブレンダー」というソフトを使って、
笑顔の女性の写真を参考に「バーチャル彫刻」を作り上げ、
プログラムを画像化したものです。
スキャンではなく、実際の画像を参考にして
粘土細工を作る要領でコツコツ作り上げました。
物凄く時間がかかる作業で、しかも非常に神経を使います。
ちょっとでも手を抜くとリアルさを失います。
実際の彫刻には反映されない部分までキッチリ仕上げると
最終的な仕上がりが美しくなります。
ブレンダーは従来のソフトと比較すると、
細かい部分や深い部分(例えば口の中)の精度が高く、
機能的にもいろいろなブラシがあって、
その上ブラシの追従性が良く、
使いやすいのでお勧めソフトです。
ゲームやアニメ制作なんかにも使われているみたいですね。
彫刻の場合は実際の凹凸をGコードにする必要があるので、
テクスチャを張っただけという訳にはいきません。
肌の質感や表情筋の躍動がでてくるまで、
表現を工夫しながら実際の凹凸として作り上げています。
するとメチャクチャ重いSTLファイルになってしまいます。
そうして出来上がったSTLファイルを
CARVECO「通称カルベコ」という別のソフトに取り込んで
GコードというCNCルーターを動かすプログラムを作ります。
その時の画像が上画像になります。
ブレンダーで作ったバーチャル彫刻をスキャンして、
CNCルーターを動かすコードを作る作業になります。
カルベコはGコードをボタン一つで簡単に作ってくれる便利なソフトです。
この時、CNCルーターの設定を同時に入力する必要があるのですが、
「この彫刻であれば、荒削りをこのルータービッドで
このスピードで1mmづつ、仕上げはこのビットで云々・・・」
この設定は、石加工の経験がないと難しいかもしれません。
石を削る量とスピードを私は音で判断しています。
もし石加工の経験のない人が設定値を入力する場合、
マニュアルもなく、しかも彫刻によって、
石種によっても違ってくるので、
適正な数値がわからず、
ビットやCNCルーターを壊しながら
経験を積み重ねながら
適正値を探っていくことになると思います。
木の加工の数値は検索ででてきますが、
石加工の数値は検索ではでてきません。
コツとしては、とにかくビットに負担をかけないように
少しづつゆっくり削るのが吉だと思います。
ちなみに私の設定についてですが、
基本的に0.5~1mmくらいの量を300mm/分くらいの
スピードで加工しています。
荒加工の場合はビットの先端ばかりではなく、
側面を使いながら深く、
しかし、焦らず薄くユックリ加工すると、
ビットは痛まず、しかも結果的に速く加工できます。
石のシンシア
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